時刻は正午を回ったところ
教室が俄かに賑わう昼休み
でも ぼくの気は晴れない
だってアリスがいないから。
『ごめんね、雪乃。風邪ひいちゃったみたい・・・』
今朝のアリスからの電話にぼくは酷くがっかりした。
アリスに会えないなら「学校」なんて来る意味ないのに。
(サボってお見舞いに行こうかとも思ったけど、きっとアリスは困った顔をするだろうから)
ああ、「学校」が終わったらすぐにアリスのところへ行かなくちゃ。
ひとりで苦しんでないだろうか 掠れてひどい声だった・・・・・。
「雪乃、全然食べてないじゃん」
一緒にお昼を食べていた女の子の声ではっ と我に帰った
「今日 元気ないじゃん、どうかした?」
「馬鹿ねー。葛城さんがいないからに決まってるじゃない」
「あ、なるほどねー。ホント仲良いもんね、葛城さんと雪乃って」
目の前の女の子達のお喋りをぼんやりとやり過ごす。(もちろん一応笑顔で)
早く「学校」終わらないかな…、いますぐにでもアリスに会いに行きたい。
その中の一人の女の子が、ぼくに尋ねた。
「ねえねえ、葛城さんとはいつからの付き合いなの?」
「…え」
イ ツ カ ラ ッ テ ?
「・・・生まれたときからずっと・・・でも、もう・・・」
モ ウ 、 ジ カ ン ハ
「え?」
目の前の女の子達は不思議そうな顔をした。
「・・・ううん、何でもない」
ぼくは かぶりを振って 笑顔を作った。
ぼくが歪んでしまう、その日はきっと遠くて近い。
だから だから 今日は必ずぼくらのアリスに会いに行かなくちゃ。
あとがき
雪乃は歪んでしまう前は普通にクラスの子達にも見えていて、
結構みんなに好かれていた、という妄想設定で。
でもやっぱり亜莉子一筋なんです。そこが雪乃のいいところです。